魔導物語 ぷよぷよ大魔王の降臨っ!(角川スニーカー文庫 山本剛)]




過去ノベライズを追う旅のはじまり。
1994年5月発行です。ちょうど30年前か〜〜

本作は魔導物語とぷよぷよのミッシングリンクを繋ぐお話しになってます。
魔導学校卒業後、なぜ魔導キャラたちがみんなぷよ勝負をするようになったのか、みたいな。
以下ネタバレあり。

 



本作、表紙と挿絵が壱さんで豪華ですねー。

基本アルルの一人称で進むんですが、冒頭から比喩があんまりにもかわいくていいね……てなりました。これは小沢アルル。

つられてボクも空を見上げると、東にぽっかり浮かんだ、まぁるいお月サマが夜を運んできていて、西のほうのオレンジ色をだんだん狭くしているのがわかる。お日サマはもうとっくに、山のむこうでベッドの用意をしてるんだろう。
7ページ目より抜粋



かわい〜〜。まあこのあとぷよぷよを粘液まみれになりながら虐殺しまくるんですけど……

「当時」のノベライズとしては良かったほうなのかなあ、という気はします。あの頃はかなりひどいのも少なくなかったし。
と、若干からめの評価になってしまうのは直前に詩子を浴びてしまったからというのもあります。

本作ではシェゾがガチでただの障害物で、描写も老獪とか邪悪とかでううんというか……なのにサタンとルシファー(オリキャラ)の美形描写とルシファー(オリキャラ)がおちゃめで魅力的、と見せるエピソードの若干のうざさとか、アルルがうっすら恋心持ってる描写がなんというか……
とはいえ公式物に推しカプ描写チェッカーを持って接してしまうとあんまりいい体験にならないので、次巻以降は「まあそうよね、大サービスしてる作品があればそうでもない作品もあっていいわよね」という気持ちで接していきたいところです。詩子のせいです。

あと知ってる口調とのズレもわりと気になってしまい……サタンは威厳があり恐ろしく一人称は「オレ」、アルルは「わよ」と語尾についたりもする、みたいな…‥

推しカプチェッカーを一度むりやりはずしてみてみれば、うまく構成してるな〜〜というのはあります。ほんとに。
魔導物語とぷよの間をつなげるエピソード、としては、良いのでは。

召喚期限切れスクロールとか魔導機械とか「おっ」っていう好みの設定もけっこうあったし。

あと「メタドライヴ」ってのもよかったですね。外観の描写からするとメガドライブなんですが、カセット部分に「オワニモ」の力をこめた箱をさして、オワニモの効果を増幅する。メタドライヴの効果でぷよを2匹ずつ筒状に吸い込み、それをフィールドに並べていくことであの盤面を作れる、というやつ。そういう読者だけがメタ知識で何が起きてるのか何がモチーフなのかわかるやつ好き。

ぷよ勝負、というか「ぷよぷよ地獄」がその後どう普及していったのかもわかったりラストシーンがぷよぷよ一作目のドラコとの遭遇のやりとりで終わってたりとか、興味深い的な意味でのおもしろかった、です。

まだ積んでるので引き続き読んでいきます。
ここしばらく公式情報でおかしくなってたので落ち着けてよかったようなさみしいような。