シェゾ・ウィグィィの変遷を考える(5)

まさかの続き。
まさかのというか、前回までが「ほとんど履修しないままに考えてたことを書き出しておく」だったんですが、ちょっとだけ履修したので今の気持ちの記録、というかセーブポイント。

あれから履修したのは魔導物語A・R・Sと角川版です。あとそれにまつわる当時の動きを少々。あと大塚。
まだ本編ナンバリングやってない。

 

ARS、というかS編がもたらしたものを考える

これなんですよねーーーーーー。これなんですよやっぱり、転機。

まずは衣装。
村長さわ先生の与えた美少年顔と銀英伝を思わせる黒衣。初登場のギリシャ系ローブではなく、ぷよで与えられた白装束でもなく、黒衣の剣士スタイルが初めて与えられたのはこの作品なわけですが、30年後にも「やっぱこれかっこいいよな」とベースになる、この、ルーンロードのお仕立てと思われる、この服。
さわ先生による正当進化は「塔」衣装と思われます、あれほんとかっこいいし「剣を使う魔導師」感が最高ですよね。わくぷよもよ〜んも好きだけど、「魔導師」としての服の頂点はアレですね個人的に。
デザイン自体は別の人かもしれないけれど、私に見えてる範囲では、さわ先生が「自分の思う一番いけてる服」を与えてくれたように思えてならない。

で、なんといっても、エピソード面も。過去。
「そんなつもりがなかったのに一方的に継承させられた」という過去が生えてきた、というのがやはりその後を決定づけたのではと思っています。

これが「自力で成り上がった」「称号を奪った」「闇の魔導師を名乗るようになった」などの自主的なものだったら、今の地位はなかったんですよきっと。

ある種の「被害者」であることが、女性ファンの、そして女性スタッフの庇護欲その他を掻き立てた、んだと思うんですよね…… 野心だけで一方的な簒奪者であったら、うまく言語化できないんですけど、サザンクロスとかJe te veuxとかが与えられたりはなかったんじゃないかって。

そこにさらにおおつかゆうしろうという存在の出現……それが……とどめになったんじゃ……

角川魔導の影響を考える

このへんはぼくらの聖地のひとつ「はてな堂」の記述も含みながらの妄想です。

角川魔導で初出だった表現や設定は少なくないそうで、のちの「ぷよぷよ」シリーズ、および織田魔導でも(そして二次創作でも)シェゾの得意技とされる「黒い風/影が演出となるテレポート」、これも最初って角川魔導だったんですね。いかにも闇の魔導師といった演出です。

角川魔導、「ぷよぷよ」およびオリキャラをベースとした最初の三冊は「まあそういうバースもあったかもしれないね」という感じで正直読み飛ばしてます。メアリー・スーを隠そうともしないオリキャラxアルルの描写しんどい。

ただ次の三冊、「新☆魔導」三部作はどれもすごくよかったです。おそらく最初の三作はほぼほぼベースになるエピソードが存在しなかったのに対し、新☆魔導はARSがベースになってるからキャラクターを深掘りできたんだろうなと考えてます。

で、新☆魔導の感想文でも書いたんですけど、この執筆時期と大塚雄四郎の出現がかなりニアミスしてる気配があるんですよね。

新☆魔導二巻までは大塚イメージの無いシェゾ、でも三巻では完全に大塚シェゾのイメージがオーバーライドされています。なので二巻と三巻ではけっこうキャラが変わってて(とくに角川魔導の最初の三冊と比べるともはや別人)、でもキャラクターとしての厚みと魅力は断然新☆魔導三巻です。

で、この新☆魔導三巻のシェゾは著者によって「悪の美学」「悪の運命」みたいなものがかなり魅力的に語られてて、それでいてコメディリリーフもこなしていて、これがコンパイルの後続作品にとりいれられていったし、なんなら織田魔導のシェゾはこのシェゾの二次創作なんじゃないか……? とすら現段階では思っています。(織田魔導読んだ他また意見かわるかもですが今はそう思っているということです)(このシリーズは情報が足りない私の思考メモをかねています)

見た目の変化とそれに伴うイメージの変化も考える

で、最後に。
見た目、もっというと髪型の変化で想定される人格って変わるし、実際それに引きずられての変化ってあるかもなーと思ったりしたのでそれも軽くメモ。

セガのシェゾ、およびコンパイル時代のわくぷよ以降のシェゾ(黒衣シェゾ)は中央わけストレートです。この髪型、キャラクターデザイン的には裏表のないまっすぐな性格、および生真面目系に与えられがちです。
へしきり長谷部とか御剣怜侍とか草薙理解とか。

で、それ以前のふわふわ系の髪というのは、くせがある性格というかトリックスターというか、そういうかんじのキャラクターに与えられるものです。

わりとクールというか武人的なイメージになりがちなコンパイル後年および織田魔導、そしてセガのシェゾというのは、案外この髪型が書き手の無意識に作用してんじゃないかな……という気がします。
髪型がふわふわしてるほうが表情が豊かなキャラクターのイメージになるように思える。よくもわるくも「主人公的ではない」というか……

また履修でいろいろ考え変わってくるかもですが、今回のセーブポイントはこのへんで。